ニコワゴンを知る

はじめに

「救急車のように改造した車の中で、不妊去勢手術ができないかな。そうすれば、手術をたくさんの場所に届けられるのに。」
それが、保健所に勤務する行政獣医師だった私が描いた夢でした。

この時の私の役目は、毎日のように届く「野良猫が増えて困る」「野良猫が生んだ仔猫を引き取ってくれ」という相談や苦情に対応したり、引き取った猫の殺処分を行うことでした。
「野良猫に不妊去勢手術を受けさせたくても、手術してくれる病院が近くにない」と漏らす住民の言葉も、当時の私の胸に強く残りました。

これらの苦情対応や殺処分の経験は、「猫の過剰繁殖を止めたい。」という強い思いとなり、今日に至ります。

2020年春、行政獣医師から転身した私の夢を乗せて動き出した移動式手術室ニコワゴン。この車のおかげで、たった一人の獣医師でもたくさんの場所、たくさんの地域に「スぺイクリニック※1」を届けることができ、移動式の不妊去勢手術専門病院(=モバイルスペイクリニック)は不妊去勢手術を普及させる手段として有効だという確信に変わりました。

モバイルスペイクリニックというひとつの夢を実現させた今の私が思い描く未来は、猫の過剰繁殖問題解決に不可欠な不妊去勢手術を、誰もが容易に享受できる社会。
そのためには、不妊去勢手術が身近で手軽に受けられる仕組みが必要です。
私たちは、機動力のある「移動式手術室ニコワゴン」を全国の同志とシェアし、各地でモバイルスペイクリニックを稼働させることでその仕組みを実現させたいと考えています。

株式会社NICOX
髙橋 葵

※1 スぺイクリニック…動物の過剰繫殖問題に取り組むために、スぺイ(生殖能力を無くす手術)を大量に提供する動物病院

コンセプト

移動式手術室ニコワゴンは外猫(野良猫・保護猫等)の不妊去勢手術を、いつでも、どこでも、手軽におこなえるよう、ワゴン車の荷室を改造し、獣医療機器/設備を搭載した移動式の手術室として開発されました。
 
スペイクリニックの特異性とワゴン車の機動性を融合し柔軟性を持たせることで、スペイクリニックのない地域や病院まで出向けない事案に対しても『手軽に、安価に、大量に』不妊去勢手術の提供が可能となっています。

これにより弊社行動指針を実現させ、猫の過剰繁殖による社会課題(殺処分/ロードキル/斃死/人への環境・財産被害/多頭飼育崩壊等)の解決を目指した活動をしています。

アップデート

2023年、これまで移動式手術室として使用してきたニコワゴンを移動式動物病院(往診車)となるようアップデートを行いました。

これにより平時は不妊去勢手術のほか一次診療がおこなえる一次診療車両として、有事の際は被災地で動物(ペット)の臨時往診をおこなう災害支援車両として利活用することで、より広範囲で、より多くの人と動物に獣医療が提供できるようになりました。

ポイント

フィードバック

年間5,000頭を超える手術実績と獣医師監修のもと開発/アップデート。

オフグリッド

外部環境に依存しない電源システムを搭載。場所を選ばない病院運営が可能。

マルチタスク

平時は過疎地での一次診療、有事は災害支援車として社会に貢献。

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